2024年8月6日 朝日新聞
飯塚市副市長が職員の勤務中にパチンコ
飯塚市の久世賢治副市長は、2024年4月頃、一般職員の勤務時間中に市内のパチンコ店でパチンコをしていたことがわかった。飯塚市では2016年にも当時の市長と副市長が一般職員の勤務時間中に賭けマージャンを繰り返していたことが明らかになり辞職している。久世賢治副市長は、一度は市長に辞意を伝えたが、その後撤回した。
2024年6月21日 朝日新聞
宮若市議会が塩川市長のハラスメント認定
福岡県宮若市の塩川秀敏市長が市職員にハラスメントを繰り返してきたとされる問題で、市議会の調査特別委員会(百条委員会)は、職員らから寄せられた情報のうち8件をパワハラやセクハラと認定する調査報告書をまとめて6月20日の市議会に報告した。塩川市長は、不適切な言葉を言ったと謝罪したが辞任は否定した。
2024年5月7日 事務局発信
ハラスメント対策
最近、自治体首長の職員に対するハラスメント発言が続いている。それについて議会で百条委員会を設置したり、問題を起こした首長が謝罪や辞職をする事例も出ている。しかし、ハラスメントの問題は事件発生後に対処することよりも最初からハラスメントを許さない環境を作ることが大切である。
そのためには、福岡県行橋市が令和5年3月に改正した政治倫理条例のように、政治倫理規準の1つとして「ハラスメント(他者に対する発言、行動等により、その意図に関係なく相手若しくは周囲の者に不快感若しくは不利益を与え、若しくはこれらの者の尊厳を傷つけ、又はこれらの者に脅威を与えることをいう。)その他の人権侵害のおれれのある行為をしないこと。」という条項を設けて、首長等や議員に対し、ハラスメントを未然に防止する啓発を行い、市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努めるように促すことが肝要である。
2024年4月1日 朝日新聞
政治とカネ
「政治とカネ」は、情報公開のデジタル化を進め、全体像を把握できるようにすべきだ。政治資金規正法は「ザル法」だと長年指摘されており、抜本的な改正が求められる。世論調査の結果は政治不信の高まりを裏付けており、政権運営の重しになっている。
2024年3月10日 西日本新聞
町長が公費で政治パーティー出席
福岡県川崎町の原口正弘町長と福岡県吉富町の花畑明町長は、2022年と2023年に地元選出の衆議院議員の政治資金パーティーに出席して町長交際費から会費を支出していたことが分かった。県内の他市町村では行政の中立性の観点から首長の政治資金パーティーへの出席には公費を充てていない。大正大学の江藤俊昭教授(地方自治)は、「特定の政治家を公費で支援するのは不適切」と指摘している。
2024年2月27日 事務局発信
国会の政治倫理審査会の立ち後れについて
近頃、衆議院政治倫理審査会は、自民党の裏金問題について政治倫理審査会の開催に動いている。しかし、衆参両院の政治倫理審査会は、地方自治体の先進的な政治倫理条例で設置されている政治倫理審査会に比べると著しく立ち後れている。先進的な政治倫理審査会においては、第1に、審査会のメンバーは外部の有識者と住民で構成しており、そこに議員は入っていない。第2に、審査会の審査は原則公開している。第3に、首長や議員が政治倫理に反する行為をした疑いがあるときは、1人または少人数の住民が政治倫理審査会に調査を申し立てることができる。こうした政治倫理審査会制度に比べると、国会の政治倫理審査会は著しく立ち後れている。政治倫理審査会は、主権者である国民の知る権利や国民の政治参加と政治監視のために有効に機能すべきである。そのため、現行の衆参両院の政治倫理審査会制度はすみやかに改正すべきである。
2024年1月25日 西日本新聞
福岡県が議員の活動情報を一部開示
西日本新聞は2023年7月、福岡県選管に議員情報の開示請求をした。それに対し、選管は、一部不開示にした。その後、西日本新聞は同年11月に別資料を請求した。それに対し、県選管は議員名を黒塗りせずに開示した。その間、福岡県は、議員の活動状況に関する情報公開条例の運用を再点検して、議員の開示情報の一部(4件)を公開した。福岡県は、これまで情報公開条例の不開示要件のうち「議員の政治活動を阻害するおそれ」という判断基準について、必要以上に狭く解釈してきた事例がみられた。なお、全国47都道府県と20政令市の情報公開条例をみると、福岡県など4県が「議員や会派の活動に関する情報」を不開示とする規定を置いている。
2023年12月9日
福岡県川崎町の政倫審査会が町議の息子の町工事請負につき条例違反を指摘
福岡県川崎町で、町会議員の息子が代表取締役を務める土木建築会社が2012年以降、計7件で1億円を超す町工事の契約を結んでいたことが分かった。町政治倫理条例は、議員らの親しい親族がトップを務める会社との契約を禁じている。町政治倫理審査会は、12月8日その事実を報告し町長が公表した。同条例は、町長や議員の1親等や同居の親族が代表を務める企業が町と契約することを認めておらず、親族が代表になった場合は辞退届の提出を義務づけている。この報告と公表を受けて契約の辞退届が提出された。
2023年12月6日
長崎県対馬市の政倫審査会が市議らの視察旅行につき政倫違反答申(西日本新聞)
長崎県対馬市の政治倫理審査会は、対馬市の市議ら13人が2021年10月〜23年4月に原発の放射性廃棄物最終処分場の関連施設を視察するに際し、最終処分場選定を推進する団体(NUMO)が交通費や宿泊費を負担していたことにつき、「政治的または道義的批判を受ける恐れのある寄付に当たる」と指摘して、対馬市政治倫理条例に違反すると判断した。
2023年7月5日(事務局発信)
地方自治法第92条の2(議員の請負規制関係)の一部改正
地方自治法第92条の2は、令和4年12月に一部改正されて令和5年3月1日から施行された。改正内容は次の2点である。
第1 請負の定義の明確化
今回の改正は、規制の対象となる「請負」の定義を明確にした。具体的には「業として行う工事の完成若しくは作業その他の役務の又は物件の納入その他の取引で当該地方公共団体が対価の支払いをすべきものをいう。」という文言が追加された。これにより、同条の「請負」には請負以外も含むことがはっきりした。
第2 個人請負の規制緩和
今回の改正では規制される取引対価について、議員個人の請負等の場合は年間300万円以下までの取引が規制対象から除外されることになった。その理由は、少ない金額の個人取引は兼職規制の趣旨に影響しないことや地方議員のなり手が不足している近年の実情などを考慮したものである。
なお、今回の改正は、議員個人と所属自治体との取引を対象とするものであり、議員が取締役等を務める法人は対象外である。したがって、議員が取締役等を務める法人の場合は、従来と同じく所属自治体との請負等が主要部分を占めるなどの法人(最高裁昭62・10・20判決)については議員との兼職が禁止される。
地方自治法第92条の2と同様の規定は、首長(地方自治法142条)、行政委員会の委員(同180条の5第6項)にも定められている
2023年4月13日
市町村議会の情報公開に温度差
市民オンブズマン福岡の調査によると、全60市町村議会のうち本会議の動画中継や議事録公開をネットで公開しているのは42議会(70%)、議事録をネットに掲載しているのは53議会(88%)だった。
2023年3月25日
奈良県宇陀市の政倫審査会が市議発言につき「政倫違反」答申(読売新聞)
奈良県宇陀市の政治倫理審査会は、同市の広沢孝英市議が2022年9月頃、市長に対し、「けんか売ってますのか。」と発言し、同市の部長に対し、市の事業に関して強要をしたと認定し、政倫条例違反にあたると答申した。
2023年3月19日
賃金本議会で懲罰動議が増加(朝日新聞)
地方議会で最近4年間に議員の言動に問題があるとして懲罰動議が出された案件が少なくとも38都道府県、83議会にのぼることが同新聞のアンケート調査で分かった。なお、裁判所は司法審査の対象を除名だけでなく出席停止にも広げている。
2023年3月5日
地方議会のハラスメント対策は不十分(西日本新聞)
共同通信が47都道府県議会を調査したところ、ハラスメント対策を独自に実施していると回答した都道府県は3割にとどまった。ハラスメント調査の第三者機関や処分規定を整備した議会はなかった。なお、福岡県議会は2022年6月に議員提案でハラスメント根絶条例を制定している。
2022年6月28日
飯塚市議会・定数4人削減を撤回
福岡県の飯塚市議会は、2019年に議員定数を4人減らすと決めていた。定数減の理由は人口減少に伴う財政悪化などだった。しかし、市議会は2022年6月27日それを撤回して議員定数を元に戻す条例改正案を可決した。定数削減後に増やした例はほとんどなく、市民の間からは市議会の責任放棄だとする声が出ている。
2022年6月11日
吉川赳衆院議員・18歳女子学生と飲酒で自民離党
自民党の吉川赳衆議院議員(40歳・比例東海選出)は、週刊誌の報道で5月27日に18歳の女子学生と2人で飲食し、その後ホテルに移動して1時間半滞在して4万円を渡したとされる。吉川議員はその責任を取って6月10日に自民党を離党した。政治家としての品格を著しく損なう行為であり、直ちに国会議員を辞めるべきである。
2021年5月31日
福岡・みやこ町の職員採用汚職で町議を起訴、副町長は罰金刑
2019年の福岡県みやこ町の職員採用をめぐり、同町議の上田重光容疑者が特定の受験者を不正に採用するように副町長に働きかけ、その見返りとして受験者の親から数百万円を受け取とるという汚職事件が発生した。上田町議は5月10日に逮捕され、5月31日にあっせん収賄罪で起訴された。働きかけを受けた三隈重光副町長(5月11日退職)は最終面接の試験官であり、面接試験の質問内容を事前に上田町議に漏らしていたことから地方公務員法違反で略式罰金50万円に処せられた。
2021年2月5日 西日本新聞朝刊より
総務省幹部が無届けで会食、首相の長男も同席
総務省の幹部4人は、菅首相の長男が勤務する放送事業会社「東北新社」の幹部と無届けで費用を支払わずに会食し、タクシーチケットや手土産を受け取っていたことが判明した。この会食には菅首相の長男も同席していた。国家公務員倫理規程は、国家公務員が「利害関係者」と1回1万円以上の飲食をする場合には事前の届け出を義務づけており、利害関係者の費用負担による接待を禁止している。東北新社は、総務省の許認可を要する衛星放送の「スターチャンネル」を展開しており、国家公務員倫理規程の「利害関係者」にあたる可能性がある。かつ、当日の会食費は1万円を超えていた。この問題は週刊文春が報道し2月4日の国会で取り上げられた。
2021年2月3日
河井案理参議院議員が辞職
河井案理参議院議員は、令和元年の自身の参院選における公選法違反で起訴され、2021年1月に東京地裁で有罪判決を受けた。その後、河井議員は同年2月3日に議員を辞職した。また、河井議員は控訴せず有罪が確定した。
2021年2月1日
静岡県磐田市が市長等の政治倫理条例制定へ
磐田市は令和元年に前副市長等が公共工事の収賄事件で有罪判決を受けたのを受けて市長等の政治倫理条例の制定に向けて準備を進めている。既に条例案について市民の意見を聞いており、近く制定される見込みである。
2020年12月25日
安倍前首相が「桜を見る会」で謝罪
安倍前首相は、「桜を見る会」の前日に後援会が都内のホテルで夕食会を開き、安倍前首相が費用の一部を私費で補填していた問題について衆議院議院運営委員会に出席して謝罪した。しかし、この謝罪はそれまでの説明を覆すものであり、公職選挙法違反の疑いもあり、かつ、政治倫理に反する行為である。
2020年8月28日
奈良県天理市の政倫審査会が市民調査請求を受けて意見書提出
天理市の政治倫理条例は、市会議員の1親等の親族が経営する企業は、市との請負契約の辞退に努めなければならないと定めている。しかし、岡部哲雄議員の1親等の親族が代表を務める企業は、天理市との間に請負契約を締結したため、2020年6月に市民調査請求がなされた。天理市政治倫理審査会は、同年8月、議員は政倫条例を遵守すべき政治倫理上の責任があり、条例の設置目的の実現に向けた一層の努力を望むとの意見書を市長に提出した。
2020年3月
鹿児島県大和村で住民の調査請求を経て議員辞任
大和村の住民4人は2019年12月、村の工事を請け負った実績のある村内の建設会社の経営に村会議員が関与している疑いがあるとして、議員政治倫理条例に基づき住民調査請求を行った。審査会は、2020年1月当該村会議員が審査期日に欠席し、審査会が求めた書類も提出しないため、自ら疑惑の解明に努めるという政治倫理条例に違反していると結論づけた。その後、当該議員は同年3月に議員を辞職した。
2020年1月24日 西日本新聞朝刊より
玄海町長、福井県敦賀市の建設業者から100万円を受領
九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は、2018年7月の町長初当選直後に福井県の建設会社の塩浜工業から現金100万円を受け取っていたことが分かった。脇山町長は、現金受領の事実を認めるとともに2019年12月に返却していると述べた。この金銭授受は政治資金規正法に抵触する可能性がある。また、塩浜工業は福井県高浜町の元助役森山栄治氏(2019年死亡)に毎月50万円の顧問料を支払っていた。
2019年11月
堺市の前市長が政治資金規正法違反で罰金100万円
大阪地検特捜部は、2019年11月、堺市の竹山修身前市長と二女(後援団体の会計責任者)が政治資金収支報告書に多額の記載漏れをしたとして政治資金規正法違反で略式起訴した。2人はそれぞれ罰金100万円の略式命令を受けて納付した。堺市の長谷川俊英市議によると、収支の記載漏れは総額2億3千万円に達するとのこと。竹山前市長は2019年4月、議会説明の直前に辞職した。
2019年4月22日 朝日新聞デジタルより
堺市長が辞職願を提出
政治資金の記載漏れ問題で
政治資金収支報告書に2億3千万円を超える記載漏れがあった問題で、大阪府堺市の竹山修身(おさみ)市長が22日、山口典子市議会議長に4月30日付けでの辞職願を提出した。
竹山氏は提出後に会見し、「政治資金の管理に多大な誤りがあったのは不徳の致すところ。市民に深くおわびする」と謝罪した。
竹山氏の政治資金問題は2月に発覚。竹山氏側は市議会の要求で2012〜17年の関係3政治団体の収支報告書を2回点検したが、修正を繰り返し、当初615万円だった記載漏れの総額は、収支合わせて2億3千万円超に膨らんだ。
竹山氏は元大阪府職員。09年の市長選で当時の橋下徹・大阪府知事の支援を受け、現職を破って初当選した。その後、大阪都構想を掲げて大阪維新の会を結成した橋下氏と決別。13、17年の市長選では維新公認候補を一騎打ちで破り、現在3期目だった。
2019年3月4日 西日本新聞(夕刊)より
高知・大川村
議員の「兼業条例」成立
立候補可能な法人名公表
高知県大川村議会で4日、地方自治法の議員の兼業制限に当たらない法人名を公表する規定を盛り込んだ条例が可決、成立した。村民が立候補しやすい環境を整える狙いで、4月1日に施行し、同16日告示の村議選から適用する。森林組合の役員など延べ約50人が立候補しても問題ないと明確になる見通しだ。
地方自治法は自治体と請負関係にある法人役員らと地方議員との兼業を禁じているが、何が「請負」に当たるか明確ではなく、立候補の足かせになっているとされる。請負が業務の主要部分を占めず議員活動の公正さを損なう恐れが高くない場合は兼業が可能と明記。こうした法人名を村長が毎年度公表するとした。また村から補助金を受けたり、指定管理者として公の施設を管理したりする行為は請負に該当しないとした。
大川村は人口約400人で村議会は定数6。2017年に村議会に代わる「総会」の設置を一時検討したが、その後は議会存続に向け方策を練っていた。
2019年2月
佐賀県嬉野市の政倫審査会が市民調査請求を受けて意見書提出
市長が民間業者から東京で接待を受けた問題
市民が政治倫理条例に基づく市民調査請求書を提出した。その調査請求は、嬉野市の村上大祐市長と市職員2人が2018年7月東京に出張した際に嬉野茶を題材にしたアニメの制作を企画する民間業者から会員制ホテルで酒食のもてなしを受け、市職員2人は同ホテルに宿泊したが、市長ら3人はこれらの食事代や宿泊代を負担しておらず、これらの行為は利害関係者からの供応接待にあたり政治倫理条例に違反するというものである。嬉野市政治倫理審査会は、この調査請求を受けて、5回の審査会を開いて審査した結果、アニメ制作は嬉野市に正式提案するほどに具体化していないので利害関係者との会食にあたらず、会食も立食形式で格別にもてなす意図は窺われないなどとして政治倫理条例に違反しないと結論づけた。
それに対し、この問題に取り組んできた嬉野市をよくする市民の会は、「李下に冠を正さず」という鉄則を踏み外しており、審査会の結論は市民感覚からは理解できないと強く批判している。
2019年1月12日 西日本新聞(佐賀版)より
嬉野市 21日に第2回政倫審
許可得れば傍聴20人超も
嬉野市は11日、村上大祐市長とアニメ制作の関係者らとの会食が利害関係者からの供応接待にあたるかどうかを調べる第2回政治倫理審査会を21日午後4時から市中央公民館で開くと発表した。
9日の第1回審査会では、傍聴を20人に限ったため、入りきれない傍聴希望者と市職員が押し問答になる混乱もあった。市民オンブズマン連絡会議・佐賀は「多くの市民に知ってもらうという審査会のあり方に逆行している」として、市に改善を求めたという。これに対し、市総務課は、第2回審査会を300人収容の会場に変更し、マイクも使うことにする。資料配布についても会長の判断を仰ぐという。
2018年8月21日 朝日新聞(DIGITAL)より
前鞍手町長ら再逮捕
入札情報漏らし現金受け取った疑い
福岡県鞍手町が発注した下水道事業を巡る官製談合事件で、入札情報を業者に漏らす見返りに現金150万円を受け取ったとして、県警は21日、前町長の徳島真次容疑者(59)ら3人を加重収賄容疑で再逮捕し、発表した。徳島前町長の取り分は75万円だったという。
徳島前町長ら3人は2015年7月、北九州市の測量設計会社の代表取締役から、実施設計の指名競争入札で非公表だった最低制限価格を教えた謝礼として、150万円を受け取った疑いがある。
福岡地検は21日、徳島前町長らを官製談合防止法違反などの罪で起訴した。
2017年6月30日 西日本新聞より
飯塚市議会制度復活を可決
2015年12月に議員や特別職の資産公開廃止を決めた福岡県飯塚市議会(定数28)は29日の6月定例会本会議で、資産公開を復活する条例改正案を賛成多数で可決した。廃止決定直後から市民が反発し、議会の姿勢を疑問視する声が上がっていた。2015年12月、議長を除く27人のうち19人の賛成で廃止を決めてから1年半。この日の本会議では7人が制度肯定派に「転向」し、賛成14、反対13で復活を決めた。
条例は7月施行の見通し。施行日から60日以内に、市議は資産報告書を議長に、副市長らは市長に提出し、市民も閲覧できる。資産公開は、首長や議員が地位を利用して不正な蓄財をしないよう監視する制度。毎年、預金や不動産などの保有状況の公開を義務づける。飯塚市は1986年、資産公開を含む政治倫理条例を制定したが、市議会は15年、資産公開廃止の条例案を19人の賛成で可決。条例施行後の16年4月からは、法律で資産公開が規定された市長のみ公開していた。
2016年10月20日
斎藤文男・九大名誉教授が新著「政治倫理条例のすべて」を発刊
斎藤文男九大名誉教授は、2006年に「新版 政治倫理条例のつくり方」を発刊し、これまで政治倫理条例の解説書として広く活用されてきた。しかし、発刊から約10年間に2014年には政倫条例の請負辞退条項を是認する最高裁判決が出るなど政倫条例を取り巻く状況も変化してきた。また、上記著書は在庫がなくなり、多方面の注文に応じられなくなった。そのため斎藤文男教授は、最新の状況も織り込んで全面的に新しく書き下ろした「政治倫理条例のすべて」を発刊した。本の注文は政治倫理・九州ネットワークの連絡先(092-432-5211)までお寄せください。
2016年9月25日
飯塚市で資産公開制度廃止に関する対話集会開催
福岡県飯塚市の「資産公開を考える会」は、9月25日に市議会の資産公開制度廃止の是非を問う対話集会を開催した。会場には約80人の市民らが詰めかけて立ち見の参加者もいた。当日は廃止賛成の議員も出席して、廃止理由として経費の無駄や家族のプライバシーなどを主張した。しかし、参加者から政倫審査会は市民も参加するお目付役であり無駄づかいではないと反論や議員が配偶者らを隠れ蓑とする資産隠しが横行しているなどという批判が続出した。参加者から廃止賛成の声はなく、市民らの疑問は解消されなかった。
2016年2月16日
飯塚市で資産公開制度廃止に抗議するシンポ開催
福岡県飯塚市議会の資産公開制度廃止に抗議するシンポジウムが2月14日に開催され、約150人の市民らが参加した。参加者から「廃止は許せない」などとする批判の声が相次いだ。当日は市民団体の「資産公開を考える会」が発足した。会長の有松賢作さんは、かつて市民運動で飯塚市の政倫条例を制定させたときに中心となって活躍した人物である。「資産公開を考える会」は、積極的な資産公開条項を核とした新しい政倫条例の制定を求めて市民運動を展開するとしている。
2015年12月19日 西日本新聞より
福岡県みやこ町で政倫条例の不正運用
福岡県みやこ町では2012年に政倫条例に抵触する町発注事業の受注契約が表面化したが、その後も不適切な政倫条例の運用を続けていたことが分かった。それは、町議会議長の2親等以内の親族企業が2015年9月までの2年半以上にわたり約7000万円の工事を請け負っていたというものである。
2015年12月18日
飯塚市議会が資産公開制度を廃止
福岡県飯塚市議会は12月18日、政倫条例の資産公開制度の廃止を決めた。その議案は、会期末に突如上程され約2時間の審議で議決しており、市民からは「あまりに拙速」と憤りの声があがった。飯塚市はかつて議員の黒いうわさが立ちこめ、福岡県内で最初の政倫条例が制定された。九州大学の斉藤文男名誉教授は、県内で開催された別の集会で「議員らがその原点に気づいていないのが一番の危機だ」と語った。
(解説)賛成議員らは、廃止理由として資産公開制度が形骸化しているなどと主張している。しかし、飯塚市の政倫条例は、本人の資産公開だけで配偶者や同居親族等の資産公開をしたいない。また、政倫審査会委員に市議会議員が入っている。このように飯塚市の政倫条例は問題が多いため、同市の政倫審査会は再三にわたり資産公開制度を改善を求めていた。今回の資産公開制度の廃止は、その要請を拒み、逆に資産公開制度をなくすという乱暴なものである。
2015年9月3日 日刊新周南より
斎藤九大名誉教授「改正必要」
周南市議会 政治倫理条例で研修会 請負、指定の問題点指摘
周南市議会の議員研修会が一日、議場で開かれ、九州大学名誉教授で市町村の政治倫理条例に詳しい斎藤文男さんが「政治倫理条例の果たす役割」と題して話し、市の政治倫理条例は百点満点の六十三点で「改正の要あり」のCクラスと述べ、問題点を指摘した。
同市は政治倫理条例検討特別委員会(兼重元委員長)を設置して制定から十年になる同条例の改正を検討しており、この日は議員三十人のうち二十八人が出席した。
斎藤さんは各地の政治倫理条例制定に助言し、条例に基づく審査会の会長も多く務めていて「専門の学者でもあり、実務家でもある」と自己紹介し、同市の条例の内容は請負契約、指定管理者の扱い、資産報告などで改正が必要だと述べた。
このうち請負契約では、市長、議員とその親族は市との請負契約、委託契約などを辞退するよう務めなければならないとしているが、土建業者で個人営業はなく、辞退するのは市長や議員が役員をしている企業であるとし、議員に関係企業の「辞退届」提出を義務づけて市が公表することを提案した。
市の公共施設の運営を代行する指定管理者については、数年間指定が続き、市から受け取る金額も大きい場合があるため利権化しがちであるとし、指定管理者は民間業者や法人以外の団体を指定することもできるが、法律上、請負などの契約には含まれないため、改めて請負と同様に政治倫理条例の規制対象に加えるべきだと説いた。
また同市の条例では指定管理者を公益法人や第三セクターの企業と同様に「市」に含めているが、民間企業、団体である場合もあり、これは改めなければいけないと述べた。
資産報告では、同市の条例が議長、副議長に資産報告、議員に所得報告を求めているが、議員全員に資産、所得の報告を義務付けるよう提案。審査会の審査事項に請負、指定管理者の指定違反の審査、毎年の資産報告の審査を加えることや、市民の調査請求権にも請負、指定規制違反を含める必要性を説いた。
市議会ではこの日の講演内容を参考に同特別委で改正内容を話し合うことにしている。
2015年8月22日 西日本新聞より
福岡県嘉麻市で市議が資産報告書を提出せず
福岡県嘉麻市では、1人の市議が資産報告書を提出しなかった。その市議は新聞の取材に対し、「抜け道がある。条例に納得ができない。今年は報告をやめた」などと述べた。
2015年7月21日 朝日新聞(朝刊)より
原発工事5000万円受注 福島の事故後 刈羽村長父の会社
東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県刈羽村で、品田宏夫村長(58)の父(84)が取締役を務める村内の原子力関連会社が、東電福島第一原発事故後に柏崎刈羽原発関連工事を少なくとも計約5千万円分受注していたことがわかった。村長の妻が経営する村内のガソリンスタンドも、東電や原発関連業者を主な顧客としてきた。村長は原発の安全性について村民を代表して判断する立場。品田村長は柏崎刈羽原発の早期の再稼働を求めている。
この原子力関連会社が新潟県に提出した工事経歴書によると、同社は2011年10月からの3年間に、柏崎刈羽原発の設備点検工事などを少なくとも計50件受注。大半が下請けで、一部は東電から直接受けた。同社が記した工事はすべて柏崎刈羽原発のものだった。
2015年7月20日 朝日新聞(朝刊)より
原発工事会社から報酬 立地道県議6人役員・顧問など
報酬の議員、原発後押し
原発が立地する自治体の道県議計6人が、地元の原発工事を受注する会社の役員や顧問に就任し、報酬や株主配当を受けていたことが朝日新聞の調べでわかった。関係する6社の原発工事受注額は、東京電力福島第一原発事故後少なくとも計10億7千万円。6議員は議会などで、原発の再稼働を促す考えを表明している。
原発の安全性を審議する立場の議員が、原発事業者側から利益を得る構図で、原発立地の各地に広がっていた。朝日新聞は、原発が立地する全国13道県議を対象に、議員側が報酬を受けている企業について議長に報告する関連会社等報告書を調査。記載された会社について、各社が国や道県に提出した工事経歴書を調べた。その結果、元請けか下請けで原発工事を受注していた会社から報酬や配当を受けていた現職の道県議は6人。全員が自民党に所属し、県議会議長などの要職に就いていた。また6人全員が、道県議会で「原子力・エネルギー対策特別委員会」といったような原発の安全調査を担当する委員会に所属していた。
九州電力が8月中旬の再稼働を目指す川内原発。地元の鹿児島県では、再稼働に同意した県議2人の関係会社による九電関連工事の受注が1月、朝日新聞の報道で発覚したが、1人は報道の2日後に役員を退き、もう1人は4月の県議選に立候補せずに引退した。
原発の安全性を審査する立場で、原発工事を請け負う会社から報酬などを受けていた道県議6人。いずれも再稼働の推進派で、議会でも原発の必要性を強調していた。現行ではルールがないが、公共性の高い電力会社の工事について透明化すべきだとの声も聞かれる。
2015年6月17日 奄美新聞より
大和村議会開会「政治倫理条例制定」を可決
定例大和村議会は16日開会、「大和村議会議員政治倫理条例の制定」が発議され、賛成多数で可決された。昨年12月、有志議員5人が大和村議会議員政治倫理条例特別委員会」(池田幸一委員長)を設置し、同条例の制定を目指し、これまで住民らとの語る会での意見交換など計16回調査研究活動を実施してきた。
同委員会の蔵正議員は「村民に対し常に公平性、透明性、信頼性を確立するために、現行法制ではカバーできない不正な政治活動を抑止するための条例」などと提案理由を述べ、制定について発議。2人が欠席し議長を除く、5人が賛成。賛成多数で「村議会議員政治倫理条例」が可決された。
2015年6月17日 南海日日新聞より
大和村議会 政治倫理条例も制定
大和村議会(議員定数8人)の3月定例会で否決された「2014年度施行津名久防災会館整備事業(建築工事・電気設備工事)」の工事請負契約締結に関する議案が、16日に開会した6月定例会で再提出され、賛成多数で可決された。同日は議員の倫理に関する「大和村議会議員政治倫理条例」も制定した。同会館の工事請負契約を巡っては、指名競争入札で落札した村内の施工業者の経営者が議員の親族であることを複数の議員が問題視し、「本来議員が順守しなければならない議員の倫理基準に反する」などと指摘。3月定例会で2人が賛成、4人が反対して否決された。議案が否決されたことを受けて、村当局は5月末に再入札を行い、指名競争入札で別の業者が落札した。前回落札した業者は入札に参加していない。今回出された議案に対して欠席した2人を除く議員5人全員が賛成し、可決された。
政治倫理条例制定案は、昨年12月定例会で設置した議員5人で構成する村政治倫理条例調査特別委員会を代表して蔵正議員提案。提案理由で蔵議員は「この条例は違反に罰則のある取締法ではなく、住民参加、住民監視による政治活動の透明・公正化を図るための制度。現行法制ではカバーできない不正な政治活動を抑止するための条例である」などと説明した。同条例は議会基本条例第8章第20条に定めた「議員の政治倫理」の項目をより具体化し、全10章で構成。▽村からの請負工事などの禁止▽村職員の採用、昇格、異動への介入禁止▽議員への審査請求権▽政治倫理審査会の設置―などを定めた。
2015年5月26日 朝日新聞(朝刊)より
議員の資産ゼロ本当? 衆院過去最多の74人 普通預金・親族名義は除外
25日に公開された衆院議員475人の資産報告書では「土地なし、家なし、預貯金なし」のいわゆる資産ゼロ議員が朝日新聞の集計で過去最高の74人にのぼった。普通預金や親族名義の資産は公開対象でなく、本当にゼロかはわからない。74人のうち11人は、前回公開時に資産があった。最も多くの資産が消えたのが自民党の福田峰之氏(比例南関東ブロック)だ。預貯金など3千万円がゼロに。「家を買ったわけでもないし、記憶にないな」。後刻、福田氏が確認したところ、前回公開後に定期預金を取り崩し、生命保険に加入。残りは普通預金に回していた。福田氏は定期預金をやめた理由について、「付き合いが多く、普通預金の方が使いやすい」と説明。普通預貯金は公開対象外のため、資産ゼロになった。今、普通預金にいくらあるかはわからない。所属政党が変わったあおりで、資産ゼロになった議員もいる。前回は223万円あった維新の党の谷畑孝氏(大阪14区)。2012年10月に自民から維新に移籍した結果、資金集めが厳しくなったという。谷畑氏は「団体や企業は自民党支持が多く、資金繰りはものすごく苦しくなった」。
本人名義の事務所を、支援者に譲渡した。固定資産税や事務所維持費などの経費を削減するためだ。今回、資産がゼロになったある議員は説明する。「資産を報告しても、痛くもない腹をさぐられるだけ。定期預金にお金を入れても得なことは何もない」
2014年9月15日 西日本新聞(朝刊)より
川崎町乱れる政治倫理 入札業者が議員に給料 議員妻に給料二重払い
官製談合防止法違反などの罪で福岡県川崎町長の小田幸男被告が起訴された事件を受け、町の混迷が深まっている。事件後、町社会福祉協議会(社協)では、町長派議員が会長を務めた3年間のずさんな運営が表面化。別の町議4人が町発注工事の入札参加業者から多額の給料を受け取っていた実態も浮き彫りになった。16日の町議会では町長への辞職勧告決議案に対抗し、反町長派議員の辞職勧告決議案も提出される見通しで、混乱は収まりそうにない。
※川崎町の官製談合事件
福岡県警は6月19日、同県川崎町発注工事の指名競争入札をめぐる談合の疑いで、町内の建設会社「五洋」の社長ら2人を逮捕(公判中)。7月19日、別の工事の指名競争入札参加業者を五洋の社長に教えたとして、官製談合防止法違反などの疑いで小田幸男町長を逮捕(起訴済み)した。小田町長は8月26日にも別の工事をめぐる同違反容疑で再逮捕された。五洋の社長は最初の談合事件について、公判で起訴内容を認めている。
2014年5月28日 朝日新聞(朝刊)より
議員2親等規制は「合憲」 公共工事受注で最高裁
自治体が発注する工事を、議員の2親等以内の親族が経営する企業が受注することを制約した条例が憲法に違反するかが争われた訴訟の上告審判決が27日あった。最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は「議員の地位を失わせるなど法的な強制力を伴わない限り、2親等規制は合憲」との初判断を示した。4人の裁判官全員一致の意見。2親等規制を「違憲」とした二審・広島高裁判決を一部破棄し、審理を同高裁に差し戻した。小法廷は規制について「議員の職務執行の公平さに市民の疑惑や不信を招く行為を防ぎ、議会の公正な運営に市民の信頼を確保するうえで正当なもの」と指摘した。
広島県府中市議会は2008年3月、議員活動に関する政治倫理条例を制定。このなかで、議員の2親等以内の親族が経営する企業が市発注工事を受注した場合、議員は、親族に契約を辞退させるよう努力しなければならないと定めた。11年10月の二審判決は「2親等規制は無効」と判断した。
2014年5月27日 西日本新聞(夕刊)より
市議2親等規制 最高裁が「合憲」 広島・府中市の条例
市議の2親等以内の親族が経営する会社と市が公共工事の契約をすることを制限した広島県府中市の政治倫理条例が憲法に反するかどうか争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は27日、「議員の公正さや議会の信頼を保つための正当な規制で、合憲だ」との初判断を示した。最高裁は条例を違憲無効とした二審広島高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。4人の裁判官全員一致の結論。
問題となった「議員政治倫理条例」は、市議本人や配偶者だけでなく、2親等以内の親族が経営する会社についても、市との請負契約などを辞退するよう定めている。訴訟では、条例違反の警告を受けた元市議が原告となり、市に損害賠償を求めた。一審広島地裁は請求を退けたが、二審が変更し、市側に計33万円の支払いを命じた。これを不服として市が上告していた。